リフォームを考える場合に、同時に見直したいのが、光熱費が関係してくる給湯設備です。今回の記事では、光熱費を賢く安く見直すために必要な「創エネ」につながる給湯機能のついた製品の話をご紹介します。
「創エネ」という新しい考え方
「創エネ」って?
「創エネ」とは、「エネルギー」を「創る」ことを言います。身近な住宅のケースに当てはめてみると、太陽光発電などによって生み出したエネルギーを家の設備に対して供給することができるということです。
一昔前から続く世の中のトレンドは「省エネ」です。現在では、「省エネ」に加えて「創エネ」という新しいトレンドが生まれました。
エネルギーを「効率よく使う」のではなく、エネルギーを「創り出す」ことが求められるようになってきたということです。創エネ設備の設置に補助金を出している自治体もありますので、ご自身でも一度ご確認ください。
「給湯器」と「発電機」の違いとは?
「エコキュート」「エコジョーズ」「エネファーム」「エコワン」というように、代表的な製品はどれも名称が似ていて発電機なのか給湯器なのか区別がしづらいところがあります。
商品の名称こそ似ているものの、それぞれの指向がそもそも違います。これらの製品の系統を大別すると、以下のようになります。
〇熱の生産・供給に関する性能を高めた給湯器 「エコキュート」「エコジョーズ」「エコワン」
〇熱に加え、電力の生産・供給を担う(発電機能あり)製品 「エネファーム」
給湯器とは?
給湯器の燃料は大別すると3種類に分類できます。
ガス給湯器
道路下の配管から各建物にガスを供給する都市ガス、建物にボンベを設置してガスを供給するプロパンガスが燃料となります。プロパンガスは定期的な補給が必要です。ガスを燃焼させてお湯を作る方式と、ガスを化学反応させて電気とお湯を作る「エネファーム」があります。「エコジョーズ」は、通常のガス給湯器と見た目は同じですが、吹き出し口から出てくる200℃近い熱風を活用し、効率よくお湯を作るシステムです。
灯油給湯器
建物に灯油タンクを設置し、配管を通って給湯器に送油します。定期的に灯油タンクの補給が必要です。灯油を燃焼させてお湯を作ります。
電気給湯器
電気温水器は、仕組みが極めて単純です。電気のみでお湯を沸かすのが電気温水器です。貯水タンクの中に設置された電気ヒーターを加熱し、その熱で水を沸かしています。単純な仕組みな分、本体の価格は安価です。同じく電気でお湯を作る「エコキュート」はエアコンにも搭載されている「ヒートポンプ」という技術により、お湯を作ります。こちらは本体は高いのですが、電気温水器に比べると、電気代が3~5倍程お安くなります。
発電機の機能付き給湯器?
発電機とは 読んで字のごとく「電気を作る機械」のことを指します。エネファームは、ガスをエネルギーに自家発電しながらお湯を作り出すことができるシステムになっています。ガスを燃焼させるのではなく、ガスに含まれる水素を化学反応させ、電気と熱を発生させています。
エネファームの仕組み
皆さんは理科の実験で行った、水の電気分解は覚えていますか?エネファームはその実験の逆の化学反応を起こし、電気と熱を発生させています。
詳しく説明すると難しくなりますが、ざっくりと言うと、水に電気を加えると水素と酸素が発生します。エネファームはガスに含まれる水素を取り出し空気中の酸素と化学反応させる事で、電気と熱と水を発生させています。
災害時にも役立つのが創エネ製品
災害時はあらゆる社会インフラが停滞するため、災害時は自家発電などの設備が整っていれば事前の備えとなります。私たちが普段使っている電気を具体例として考えてみても、火力・原子力・地熱・風力など、様々なエネルギーで発電された電気が供給されています。
災害時のような万が一の事態の際にも、電力の供給がされている限りは生活への支障を減らすことが出来ます。創エネは、災害時にも対応できるところが強みです。
給湯器の費用について
給湯器の機能は、床暖房や浴室暖房機を動かすことができる、「暖房機能付き給湯器」で比較致します。
〇エコウィル
エコウィルは、かつて補助金による助成が行われていたため、導入する家庭が多々ありました。2011年に補助金による助成が中止されたため、エネファームをはじめとする他サービスにより選ばれることが少なくなり2017年9月30日で新規販売の受付が終了となっています。
エネファームに比べ導入金額が安価になっているため、初期費用にかけたお金の元を比較的取りやすく、ガス代が上がる代わりに、電気代が大幅に節約できる点に特徴がありました。ちなみに、初期費用は80~100万円が目安で販売がなされていました。使用されている方は、10年ほどが買い替え時になります。
〇エコキュート
エコキュートの最大の特徴は熱源が電気という点です。電気でお湯を沸かすところに、大きな特徴があります。ガスを使わないことにより、二酸化炭素の排出量を抑えることが出来るため、ガスを使うよりも環境に対する負荷が軽減されると言われています。また、電気料金が安くなる深夜電力を使用するのでとてもお財布にやさしいです。オール電化と組み合わせれば、光熱費の大幅な削減につながります。
災害時に断水になった際は、タンク内のお湯を非常用水(飲用不可)として使うことも可能です。ネックとしては空気の熱を利用するため、気温が下がる冬期は熱効率が下がり、相対的に光熱費がかかりやすくなります。また、沸かしたお湯を給湯タンクに溜める仕組みなので、一度に大量に使用するとお湯切れになるリスクがあります。
エコキュートの導入にかかる費用の目安としては、エコキュートの設備の価格相場は、タンクの大きさや販売店、メーカーにより違いますが、おおよそ25万〜35万円と認識していただきたいです。
〇エコジョーズ
現在、弊社で新たに設置している給湯器の9割がエコジョーズ給湯器です。「エコジョーズ給湯器」とは、少ないガス量で効率よくお湯を沸かすことが出来る省エネ性の高い給湯器のことです。湯沸かしの効率がアップすると、ガスの消費量が少なく済むようになります。
エコジョーズ給湯器では、今まで使われることないまま捨てられていた排気熱をあらかじめ水を温めるために有効活用します。そのため従来よりも少ないガスの消費量で、効率よくお湯が沸かすことが出来るのです。
機器内で結露が発生するため、それを排水管に流すための配管が必要になります。
エコジョーズへの取替工事は、おおよそ25万円~30万円です。
〇エネファーム
電気の使用量が多い場合は大きなメリットがあり、10年間で導入費用の元が取れてしまう事も珍しくありません。
エネファームを導入するにあたっての考え方としては、給湯器を取り換える際に「暖房機能付き給湯器」だと25万円、「エネファーム」が100万円とします。その差額は75万円となりますが、10年間で75万円以上のメリットが期待できるかどうかです。
販売業者がシミュレーションを作成できますので、必ず試算してもらいましょう。
また、エネファームは地球の環境の事を考えて開発された給湯器だという事も重要なポイントです。
エネファームをご家庭で1年間使用すると、石油、天然ガスといった一次エネルギーの使用量を23%削減。二酸化炭素の削減量は1,330kg、38%も抑えることができます。地球資源の保全や温暖化防止に大きく貢献します。この二酸化炭素削減量は、150m×150mの森林が1年間に吸収してくれる二酸化炭素の量に相当します。
「エネファーム」は、機能的にも給湯器に発電機能があるというよりは、発電機能がメインとなっておりそこから出る熱でお湯を沸かすイメージです。
エネファームは、自宅で電気をつくり、お湯も同時につくり出す家庭用燃料電池です。商品名の由来は、「エネルギー」と「ファーム(農場)」を組み合わせて名付けられました。
自宅で使うエネルギーを、まるで家庭菜園のように自宅でつくって、エネルギーをムダなく使います。そうすることによって、エコな暮らしが実現します。この発電機と給湯器の機能を備えたスタイルこそが、「創エネ」の真髄です。
エネファームの導入費用は、割引後の本体費用と施工費用を合わせておおよそ90万円~130万円となります。金額に大きな幅がありますが、エネファームからエネファームへの取替えは施工費が安く済みますが、新規でエネファームを設置する際には土台の工事や電気工事が発生します。
製品の耐用年数は10年となっており、それ以降は部品の交換や保証の延長が必要です。
エネファームはお湯を使うほど発電する仕組みですので、毎日お湯を溜めてお風呂に入るといったライフスタイルで、なおかつご家族が多い場合には効率的なエネルギーシステムだと言えます。
まとめ
現代は、とても便利な時代になったもので、多機能な湯沸かし器の製品が多く流通しています。懐事情とも相談しながら、賢く給湯器を選ぶことが光熱費の見直しの最適な方法の一つになります。
皆様が、それぞれの生活スタイルに合った最適な給湯器選びが出来ますように。